まずまず、時々、晴れ

20代の田舎者男の雑記ブログ。歴史とか相撲とか、その他諸々。思ったことを書き綴る。

栃ノ心の大関昇進について

栃ノ心大関昇進

栃ノ心が見事な大関昇進を果たした。元からまわしを取って引き付ける相撲には定評があったが、今年に入ってからその相撲に磨きがかかって、14勝(優勝)、10勝、13勝(準優勝)と飛ぶ鳥を落とす勢いで大関に駆け上がった。

ちなみに大関昇進の目安は、『三役の地位で3場所の合計勝ち星が33勝』とされているが栃ノ心は37勝と大きく上回る勝ち星を重ねたのだ。14勝を上げた地位が平幕だとしても、前頭3枚目の位置であり、対戦相手は三役力士らと変わりは無いため相当の実力なのであろう。

稀なる怪力の持ち主

栃ノ心の強みの一つに稀なる怪力であることが上げられるだろう。NHKの解説で元・横綱北の富士氏が「吊る意識は無いのに、相手の体が浮き上がっている」と述べられていたがまさにその通りである。

通常、相手力士を吊る際には吊る側が腰を反り、相手を腹の上に乗せるようにするのだが、栃ノ心はその動作をせず、あくまでも引き付ける力のみで相手の体を起こしてしまうのだ。

相手力士は戦々恐々だろうが、見ているこっちとしては、押し相撲によって一瞬で勝負が決まる最近になって増えた相撲と違って、十分な見ごたえを感じさせてくれるのだ。

栃ノ心夏場所一番の相撲は12日目の白鵬

個人的に栃ノ心夏場所一番の相撲を挙げるとすれば12日目の白鵬戦だろう。

互いに立ってすぐにがっぷり四つ。互いに引き付けあい、最後は栃ノ心が十分の形で渾身の寄りで白鵬を破った。両者の体に120%の力が入り、魂のぶつかり合いを感じた。

おそらくここ数場所で、見ている方も一番力の入る相撲だったろう。個人的には10年ほど前(記憶が定かではないが)の白鵬朝青龍の対戦を思い出してしまった。

あの時も両者がっぷりで、激しい引き付け合いの末、白鵬が上手投げで朝青龍を破った。その白鵬が今度は負ける番に。時代の流れを感じる。

そして、この取組みに関しては真っ直ぐ受けて立った白鵬にも拍手を送りたい。最近の所作や取組みには疑問符が付くが、このような相撲を取れば、失ったファン(私も含め)戻ってきてくれるのではないだろうか。

これからの課題と展望

満を持して大関昇進を果たした栃ノ心だが、課題が無いわけではない。むしろ茨の道を歩む可能性が高い。

まず、彼の相撲人生を狂わせたといっても過言ではない、膝の怪我だ。もちろん完治するようなものではなく、彼の相撲人生に一生ついて回るだろう。この爆弾を爆発させないように本人も周囲もよりいっそう注意が必要だ。

さらに年齢も30歳と決して若くは無い。これからどういった進化が必要なのか見極める必要がある。下手すりゃ現在の稀勢の里のようにもなりかねない。

相撲はわずかな期間で状況が変わる厳しい競技である。栃ノ心の力強い相撲を一日でも長く見れることを切に願う。嘉風のように30代半ばで元気な相撲を取る力士もいるのだから。